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企業において人権研修を行うべき基礎的テーマ6選を紹介|効果を上げるコツも解説

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企業において人権研修を行うべき基礎的テーマ6選を紹介|効果を上げるコツも解説

本記事では、企業で人権についての研修を行う際に、行うべき基本的な人権分野のテーマの概念や言葉の説明をします。加えて研修を行う際のコツも解説します。

 昨今、企業の取り組みとして、国連が定める『ビジネスと人権に関する指導原則』に沿った人権への配慮を企業内外に対し行うことが求められています。人権について、従業員に対し知識を付けさせることは重要になりつつあります。
 また、人権への理解は誰もが働き易い職場環境へと繋がります。その結果、離職率を減らしたり、社内外へのトラブルへの事前対応として機能し企業成長にも欠かせない要素となります。

人権研修で取り扱うべきテーマ6選

人権研修で取り扱うべきテーマとして、以下の6つが挙げられます。

  • ①パワーハラスメント
  • ②セクシュアルハラスメント
  • ③LGBTQやマイノリティへの差別
  • ④障害のある人の人権
  • ⑤部落差別・同和問題
  • ⑥外国人への偏見

各テーマについて、詳しく解説します。

パワーハラスメント

パワーハラスメントとは、「職場での優位性を利用して相手に心身の苦痛を与える行為のこと」をいいます。

法律上の定義としては、

2019年に制定された労働施策総合推進法(別名:パワハラ防止法) によると、下記の3要件を満たす行為だとされており、法律内には6つの具体的な行為が類型が挙げられています。また、2022年4月より、事業規模を問わず企業にたいして、法律に基づく対応が義務付けられています。

  1. 優越的な関係を背景とした言動
  2. 業務上必要かつ相当な範囲を超えた言動
  3. 労働者の就業環境が害されるもの

つまりは、「職務上の地位、経験、年齢、人数、専門的な知識などが職場内で優位であることを背景とし、業務の範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与えること、または職場環境を悪化させる言動」をいいます。上司から部下だけでなく、部下から上司、同僚間のパワーハラスメントもあります。

セクシュアルハラスメント

セクシュアルハラスメントとは、「相手の意に反した性的な言動を行い、相手を不快にさせること」をいいます。男性から女性に対するものに限らず、女性から男性・女性から女性・男性から男性(同性同士)・LGBTQ+に対するそうした言動もセクハラに当たります。

 勤務時間内だけではなく、業務時間外の飲み会についても、その場への参加がほぼ義務であるなどは実質上職務の延長と考えられ「職場」に該当します。そのため、飲み会で行われた不快な言動も、セクハラに当たる可能性があります。また連絡ツールなどのSNSで、交際を執拗に迫ったり、性的に不快な言葉を執拗に送ることも、セクハラとして過去に認められた事例があります。

また、セクハラ行為は大きくわけて、下記の2つに分類されます。

  • ⑴対価型セクシュアルハラスメント
  • ⑵環境型セクシュアルハラスメント

それ以外のハラスメント行為としては、下記が挙げられます。

「マタハラ」妊娠・出産・育児に関して、女性労働者が職場で受ける不当な取扱いや嫌がらせを受けること

「パタハラ」男性労働者が、育児のために育児休暇や時短勤務を利用したことなどを理由として嫌がらせを受け、就業環境が害されること

「ケアハラ」働きながら介護を行う人に対して行われる嫌がらせや、不利益を与えること

「モラハラ」道徳や倫理に反する嫌がらせ行為こと

またこういったハラスメント行為を受けた際には、行為がエスカレートする前に、初動でハラスメントの芽を潰すなどの対応も重要になってきます。社内に相談窓口があるのかを把握しておくことや、記録を残しておくことも大切です。また、ハラスメント事案が起こる前に、社員の人権意識を高めるための研修も必要です。

ハラスメント防止の観点から、以下のテーマでの研修も有効的です。

  • 心理的安全性

  • アンガーマネジメント

  • メンタルヘルスケア/レジリエンス

  • アンコンシャスバイアス

  • マイクロアグレッション

LGBTQの差別

様々な性的指向や身体的特徴に基づく差別をいいます。

「LGBTQ」は下記の頭文字をつなげた略称によるもので、いわゆる性的少数者(セクシュアルマイノリティ)の総称です。

  • L=Lesbian(レズビアン=女性同性愛者)

  • G=Gay(ゲイ=男性同性愛者)

  • B=Bisexual(バイセクシャル=両性愛者)

  • T=Transgender(トランスジェンダー=性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)

  • Q=Queer/Questioning(クィアまたはクエスチョニング=性的指向・性自認が定まらない人)

2023年にLGBT理解増進法が施行され、多様な性の在り方への理解が求められています。性自認も性的指向は、極めてプライベートなことであり個々に違うと言えます。いろいろな性のあり方は多様でボーダレスにつながっています。

多様な性のあり方を認めることは、安心して働き、よりよく暮らせる社会を築くために必要です。研修を行う上では、概念の説明に加えて、「アウティング」(本人の意図なくして、第三者へ情報を漏らすこと)も研修に組み込む必要があります。

障害のある人の人権

障害を持つ人々の権利について学び、バリアフリーな職場環境を実現するためのアプローチを考えます。

2024年4月に障害者差別解消法が施行されました。この法律により、全ての民間業者に、障害者への差別解消のための合理的配慮に努めることが義務づけられました。

障害は障害者の側にあるのではなく、社会の側にバリアがあるという考え方は重要です。障害の有無に関わらず、だれもが働きやすく暮らししやすい社会をつくることは、少子高齢化のため働き手が不足する未来にとっても大切なことと言えます。

法律の施行により、同じ職場で障害者と共に働く機会も増え、顧客や取引先で障害者と出会うことも多くなるでしょう。障害と一口に言っても、多種多様です。害について知り、障害のある人の人権について考える機会をつくることは、企業の未来にとっても欠かせないことと言えます。

部落差別・同和問題

日本社会の固有の歴史とともに形成された差別概念です。「出生エリアなどで、個人を否定したり差別をすること」をいいます。士農工商など、職業によって人の地位が決まっていた時代があり、それに由来した日本特有の差別行為です。

具体的には、日本国民の一部の人々が長期間に渡り、経済的・社会的・文化的に低い状態に置かれることを強いられ、同和地区と呼ばれる地域の出身者であることなどを理由に結婚を反対されたり、就職などの日常生活の上で差別を受けたりしていました。

2016年の部落差別解消法の施行により、国として部落差別を解消する施策を進めています。しかし、未だにインターネット上の差別的書き込みや、結婚や交際時の差別などはなくなってはいません。

外国人への偏見

外国人労働者や留学生などの権利や尊厳を尊重し、多様性を受け入れる社会を築くための取り組みを考えます。グローバル化に対応する上で、欠かせない要素です。

具体的に、違う言語や宗教・文化・生活習慣を持つ人々と共に暮らしたり、働くことが、さまざまな摩擦や感情のずれなどを生むことにもつながる可能性があります。例えば、外国人というだけの理由で住宅の賃貸や商店などの入店を断るといった事案や、就労に関して不合理な扱いをすることなども起こっています。また、特定の民族や人種に対する差別的言動である、ヘイトスピーチも問題になっています。

多様性を認め、それぞれの価値を認めることが、これからの社会を発展させる鍵になります。

企業で研修が求められる2つの理由

①企業の社会的責任を果たすため

企業が社会の一員として存在するためには、人権を尊重し差別やハラスメントを排除する責任があり、法律と密接に関係しています。

ビジネスと人権(人権デューデリジェンス)については、令和2年10月に、「ビジネスと人権」に関する行動計画(2020-2025)が策定され注目を集めています。社内の人権だけではなく、取引先などの社外の人権にもきちんと目を向けることが必要です。

従業員が働きやすい職場を作るため

ハラスメントや差別が存在する職場では、帰属意識や意欲が下がり、結果として生産性も下がります。心理的安全性の担保されない職場環境は労働者に大きなダメージを与えます。職場のパワーハラスメントを防ぐためには、お互いを認め合うコミュニケーションを職場内で培う必要があり、そのための研修は必須です。

人権研修の効果を高めるための3つのコツ

①社員に当事者意識を持たせる

社員に実際に行動に移してもらうには、人権研修は単なる知識の理解だけでなく、当事者としての意識を高めることが重要です。

具体的な過去の事例やディスカッションなどの体験を通じて、理解を深めます。

昨今、ハラスメント防止法などをはじめ、それぞれの人権に対して法律が新しくなったり、法律が整備されています。昔の感覚から一人一人が当事者意識を持ち、感覚をアップデートしていかなければ、ハラスメント行為の芽を摘むことはできません。

研修の目的を明確にする

研修のゴールが明確になれば、研修内容や方法を設定することができます。

具体的には、研修の一番の目的を「概念について理解した上で、ハラスメント行為が会社内で起こらないようにし、加害者と被害者を作らないようにするため」と設定します。
そのためには、加害者にならないための過去の事例などを通した具体的な学びと、

もしターゲットにされ被害者になった時に、どういった行動をとれば良いかなども、研修などで伝える必要があります。

③定期的に実施する

社会の変化や法制度の改正に合わせて研修の内容を更新したり、定期的に研修を実施することは、社内の気風を醸成することにも繋がります。

ドラスタの人権研修とは

1969年に東映で教育映像部が設立されてから、近年に至るまで約70年間人権分野についての作品を絶えず制作してきました。

長年制作してきたノウハウや知見を活かし、確実な情報を内容に盛り込んでいます。

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