企業で交通安全研修が必要な理由とは?研修の概要や導入するメリットを解説

「企業で交通安全研修を実施するメリットを知りたい」
「どのような内容を学ぶべきか、効果的な研修方法を知りたい」
とお考えではありませんか。
企業における交通安全研修は従業員や会社を交通事故のリスクから守るために必要な取り組みです。企業の社会的責任(CSR)の観点からも、交通安全研修の積極的な実施が求められているといえます。
一方、交通安全研修の実施には費用がかかるうえ、漠然と実施するだけでは効果が期待できないことから、「交通安全研修はどうやって行えば効果的にできるのか?」「交通安全研修では何をすればいいの?」と疑問をかかえている企業の担当者もいることでしょう。
そこで本記事では、企業における交通安全研修の必要性や、研修で学ぶ内容について詳しく解説します。交通安全研修を導入するメリットや、外部講師のもとで受講する場合の費用相場も紹介するので、ぜひ導入検討のヒントとして活用してください。
企業で交通安全研修が必要な理由
交通安全研修は、企業のリスク管理において交通事故を防止するために必要な取り組みだといえます。
労働災害のなかでも「墜落・転落」に次いで死亡者数が多いのは交通事故であり、これは業務中に車を運転することがあるすべての業種において大きなリスクです。従業員はもちろん、事故相手に身体的・精神的なダメージを与えてしまいます。
参考:厚生労働省「令和5年労働災害発生状況の分析等」
その他にも、業務中の交通事故は企業にとってさまざまな損失を生む点にも注意が必要です。交通事故によって企業にもたらされる損失としては、以下のようなものが挙げられます。
- 人的損失:従業員のケガ
- 金銭的損失:車両の修理・保険料の増加
- 信頼損失:企業イメージの低下
- 時間的損失:事故処理や再発防止などにかかる時間
上記のような損失を受けるリスクを低減するためにも、従業員を交通事故から守る交通安全研修が必要です。
また、以下のいずれかの条件に該当する企業には、安全運転管理者の選任が義務付けられています。
- 定員11人以上の自家用自動車を1台以上使用
- その他の自家用自動車を5台以上使用(自動二輪車は1台につき0.5台でカウント)
安全運転管理者の主な業務は、社内の運転者の把握や運転の記録、酒気帯び確認などで、その中に運転者の指導も含まれています。安全運転管理者の業務の一環として、交通安全研修を実施している企業もあるでしょう。
「ドラスタ」では、自転車に関するルールや安全に運転する方法を学べる動画コンテンツを用意しています。交通安全研修の内容に自転車に関するものも組み込む場合は、ぜひ教材の1つとしての活用を検討してみてください。
大人のための自転車安全教室 わかりやすく解説 自転車安全利用五則
交通安全研修の種類

交通安全研修には、対象者の属性によっていくつかの種類があります。代表的な交通安全研修は、以下の4種類です。
交通安全研修の種類 | 対象者 | ポイント |
---|---|---|
新入社員研修 | 運転歴が浅い新入社員 | 基礎的な運転スキルと知識を学ぶ |
一般社員研修 | 運転に慣れた一般社員 | 自身の運転の仕方や癖を客観視する |
事故惹起者研修 | 事故を起こした社員 | 事故原因の分析と具体的な改善策の検討を行う |
運転指導者向け研修 | 社有車の管理者や運転を指導する立場の社員 | 指導方法や管理方法について学ぶ |
新入社員研修・一般社員研修・事故惹起者研修・運転指導者向け研修の4つは、対象者が異なるため、研修内容や重視されるポイントが異なります。それぞれ詳しく解説するので、自社で実施する可能性がある研修についてチェックしておきましょう。
新入社員研修
新入社員研修は、新たに入社した社員を対象とした交通安全研修です。数年在籍している社員と比べると運転経験が少ない場合が多いので、特に積極的にサポートする必要があります。安全運転のための基本的な知識やスキルを学習できるように座学だけではなく、実技トレーニングを行うことも重要です。
新入社員向けの交通安全研修でのポイントは以下のとおりです。
- 基本的な交通ルールの学習
- 車両の操作方法の訓練
- 危険予知のトレーニング
- 事故発生時の対処法の学習
業務で車を運転する可能性が高い場合は、実際の車両を使った訓練を実施するケースもあります。座学のみの研修と比べると多くの所要時間・費用がかかりますが、従業員の運転スキルを高めるためには実技講習がある研修がおすすめです。
研修中、各社員が安全に運転できるかを見極めることも大切です。運転適正検査などのテストを実施し、事故のリスクが高いと判断される社員については、車の運転の制限や追加講習を検討しましょう。
一般社員研修
一般社員向けにも定期的な交通安全研修が必要です。日常的に車を運転している社員や、今後運転する可能性がある一般社員向けに、安全運転意識を向上させるための研修を行います。年1回などの頻度で定期的に行うのが一般的です。
一般社員向けの交通安全研修では、「日々の運転習慣の見直し」がテーマとなります。運転に慣れている人も多い一般社員に対して、自分の運転を客観視させられるような工夫が必要です。一般社員向けの交通安全研修の内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- 交通ルールやマナーの再確認
- 正しい安全確認方法の学習
- 最新の交通事情の確認
- 自社での事故・違反件数やその事例紹介
- 危険予知のトレーニング
運転に慣れている一般社員の中には、自己流の運転を安全運転だと勘違いしている人もいる可能性があります。正しい安全確認の方法や交通ルール・マナーを再確認させ、運転モラルの向上を図りましょう。
事故惹起者研修
事故惹起者研修とは、実際に交通事故を起こしてしまった人(事故惹起者)のための交通安全研修のことです。事故再発防止研修とも呼ばれ、二度と交通事故を起こさないために具体的な改善策を指導する必要があります。
事故を起こしたからといって、必ずしも事故惹起者の運転技術が低いわけではありません。多くの事故の原因には、そのときの心理状態や運転の癖などが影響しています。単に基本的な運転操作を指導するのではなく、自分の運転を客観視し、なぜ事故が起きたのかを分析することが大切です。
事故惹起者研修の内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- 発生した交通事故の原因分析
- 運転者の課題や問題点の抽出
- 事故に繋がる可能性がある業務上の事情の分析
- 運転者のメンタルケア
事故惹起者研修では、実際に起こしてしまった事故を深堀りして、原因を明確化します。運転者に「スピードを出しすぎる傾向がある」「夜は注意力が落ちやすい」などの原因があれば、それに対する改善策の検討やトレーニングを行いましょう。
また、事故の原因には、運転者自身だけでなく業務上の事情も影響している場合があります。運行計画に無理があり、結果として事故を引き起こしている可能性がある場合は、運行計画や業務スケジュールの見直しも必要です。
最後に、事故を起こしてしまった運転者のメンタルケアも行いましょう。何らかの要因で今後の安全運転が困難だと考えられる場合などは、一度運転を制限して回復に努めさせる必要もあります。
事故惹起者研修で行った事故原因の分析と具体的な改善策の検討結果は、資料にまとめて社内で共有しましょう。事故を起こした本人だけの問題として処理せず、社内の貴重な事例として活用することで、自社の交通事故リスクの低減に役立ちます。
運転指導者向け研修
運転指導者向け研修とは、社内で車の運転を指導する立場にある従業員に対して行う交通安全研修のことです。前述の新入社員研修・一般社員研修・運転惹起者研修よりも高度な内容の研修を行う必要があります。
運転指導者向け研修のポイントは、受講者自身の運転スキルや安全運転への意識を向上させるだけでなく、それを他の従業員に伝える指導技術の向上が求められる点です。運転指導に必要な知識やコーチングスキルなどを学べる内容の研修とする必要があります。
運転指導者向け研修の内容としては、以下のようなものが挙げられます。
- 危険予知トレーニング
- 従業員の運転スキルに応じた指導方法の学習
- 指導中のフィードバックの仕方
- 運行計画の作成方法
運転指導者向け研修では、危険予知などのトレーニングを実施しつつ、従業員に対してどう指導・フィードバックをすべきかを学びます。従業員によって運転スキルに差がある場合も考慮し、運転スキル別の指導方法を身につけられるとよいでしょう。
また、社有車の管理者や各部署の管理職が対象となるケースが多い運転指導者向け研修では、社有車の運用方法や従業員の運行計画の作成方法などに関する学習が必要になる可能性もあります。対象者や自社の実態を考慮して、研修内容を計画しましょう。
企業が交通安全研修を導入するメリット
企業が交通安全研修を導入するメリットには、さまざまなものがあります。代表的なメリットは以下の3つです。
- 交通事故の発生リスクの低減
- コスト削減
- 企業イメージの向上
それぞれの導入メリットについて説明するので、ぜひ交通安全研修の導入検討に役立ててください。
交通事故の発生リスクの低減
交通安全研修を導入する一番のメリットは、交通事故発生リスクの低減です。交通安全研修を実施したことで従業員の安全運転に対する意識が高まり、交通事故の件数を減少させる効果が期待できます。
運転中の注意事項を事務所や社有車内に掲示したり、日々の運転日記にヒヤリハットの記載欄を設けたりと、常に安全運転への意識を絶やさないようにする工夫も大切です。交通安全研修を実施して終わりではなく、安全運転に向けた取り組みは継続しましょう。
コスト削減
従業員が交通事故を起こすと、損害賠償費や車両修繕費などの支払いが発生する場合があります。また、交通事故を起こしてしまうと、次年度以降の保険料が上がる場合もあるため注意が必要です。
交通安全研修によって従業員の勤務中の事故がなくなれば、事故時に支払う賠償金や修繕費用、保険料の上昇がなくなります。交通事故が減ることは、結果的にコスト削減に繋がるといえるでしょう。
事故の規模や被害が大きいほど、企業はその原因追求や再発防止策の策定、保険会社との手続きに多くのリソースを割く必要が出てきます。交通安全研修は、本来の業務に充てる時間と労力が減ることによる経済的損失から企業を守るためにも必要な取り組みです。
企業イメージの向上
企業が安全運転への取り組みを強化することで、社会的な評価や企業のブランド価値が向上します。特に、安全管理が重要視される業界では、交通安全研修の実施が企業の信頼性を高める要素の一つとなります。
取引先や顧客、求職者などに対し、安全運転を重視する企業姿勢をアピールできることも、企業イメージの向上につながるでしょう。
h4 id="a04-3">企業イメージの向上近年では、企業の社会的責任(CSR)を果たすことを強く求められています。その中で、交通安全研修の積極的な実施は、「従業員やその他の人の命を大切にする企業」「法令遵守を行う企業」だとアピールする方法のひとつです。
質の高い交通安全研修を定期的に実施し、結果として従業員の運転スキルやマナーが向上すれば、取引先・顧客・地域住民からの信頼感を高められます。また、企業の交通安全への取り組みが評価されれば、競争力の向上も期待できるでしょう。
交通安全研修の費用相場
外部の専門家を講師として行う交通安全研修の費用相場は、研修の種類・内容・講師の専門性などによって大きく異なります。よくある交通安全研修のケースとそのときの費用相場の例は以下のとおりです。
種類 | 内容 | 所要時間 | 費用相場 |
---|---|---|---|
新入社員研修・一般社員研修 | 座学・実技指導 | 数時間〜1日 | 5,000〜30,000円/人 |
運転惹起者研修・運転指導者研修 | 座学・実技指導 | 半日〜1日 | 50,000〜100,000円/人 |
新入社員研修・一般社員研修 | 座学(集合研修) | 半日〜1日 | 100,000〜150,000円 |
新入社員や一般社員向けに座学や実技指導を行う交通安全研修の場合、所要時間は数時間〜1日程度で、費用相場は1人あたり5,000〜30,000円です。実技研修をどの程度の時間行うかによって所要時間や費用が前後します。
運転惹起者や運転指導者向けの交通安全研修は、新入社員や一般社員向けのものと比べるとやや高めです。研修の内容がより具体化され、運転スキルだけでなく指導スキルの学習も行うため、費用相場は1人あたり50,000〜100,000円と高額になる傾向があります。
企業・営業所・部署など数十人単位で一度に行う集合研修の場合、所要時間は半日〜1日で、費用相場は100,000〜150,000円程度です。費用を抑えて多くの従業員が受講できる反面、座学のみで実技指導が行われないケースが多い点には注意してください。
費用だけを見ると集合研修が選ばれがちですが、座学による学習効果は一時的なものになりやすいと考えられます。日常的に運転をする従業員や、事故・違反が多い営業所・部署などにおいては、しっかり実技研修を受けられるものを受講した方がよい場合もあるでしょう。
まとめ
本記事では、企業における交通安全研修の必要性や、対象者別の研修内容・ポイントなどについて解説しました。
交通安全研修は、従業員を交通事故のリスクから守るだけでなく、企業におけるリスク管理の観点からも必要な取り組みです。新入社員・一般社員・運転惹起者・運転指導者など、受講対象者の属性に応じて適切な交通安全研修を用意しましょう。
近年は、飲酒運転などの違反行為による交通事故も厳罰化されており、企業におけるリスクのひとつとなっています。こうしたリスクを多くの従業員に理解してもらうための研修には、東映が提供する「ドラスタ」の活用がおすすめです。
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