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アンコンシャス・バイアスの具体例20選!職場、日常などシチュエーション別にご紹介

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アンコンシャス・バイアスの具体例20選!職場、日常などシチュエーション別にご紹介

「会社で多様性を推進しているはずなのに、なぜかうまく進まない…」

「公正な評価を心がけているのに、社員から不満の声が上がる…」

人事部門のご担当者様は、日々このような課題に直面していませんか?
その原因の一つに、「アンコンシャス・バイアス」が潜んでいるかもしれません。

アンコンシャス・バイアスとは、誰もが無意識のうちに持っている「ものの見方や捉方の偏り」のことです。アンコンシャス・バイアスは、採用や人事評価、人材育成、そして日々のコミュニケーションといったあらゆる場面で、知らず知らずのうちに不公平な判断や人間関係の摩擦を生み出す恐れがあります。

本記事では、人事ご担当者様が職場の課題解決に役立てられるよう、具体例について「職場」と「日常」のシチュエーション別にわかりやすくご紹介します。

【関連記事】
アンコンシャス・バイアス研修とは?職場での事例や目的などを解説

アンコンシャス・バイアスとは?

アンコンシャス・バイアス(Unconscious Bias)とは、日本語で「無意識の偏見」や「無意識の思い込み」と訳される概念で、私たちが意識せずに持っている思考や判断の偏りを指します。

人は皆、育った環境、経験、文化、教育などによって、知らず知らずのうちに特定の情報や状況に対して、偏った見方や判断をしてしまう傾向があり、必ずしも悪意がなくとも、偏見を持ってしまうことがあります。

アンコンシャス・バイアスの具体例20選

ここからは、職場と日常生活それぞれの場面で見られるアンコンシャス・バイアスの具体例を、「職場で見られるアンコンシャス・バイアス」と「日常生活におけるアンコンシャス・バイアス」とに分けて10点ずつ、ご紹介します。

職場におけるアンコンシャス・バイアス

まずは、職場におけるアンコンシャス・バイアスからご紹介します。

採用面接での外見による判断

面接官が応募者の服装や髪型、体型などの外見で、その人の能力や性格を判断してしまうケースがあります。

たとえば、「スーツの着こなしが良い人は仕事ができそう」「髪色が明るい人は不真面目そう」といった判断です。

性別による役割の固定化

「営業は男性の方が向いている」「事務職は女性の方が細やかで適している」など、性別によって職種や役割を決めつけてしまう偏見です。

この偏見によって、適性のある人材を見逃してしまう恐れがあります。

年齢による能力の決めつけ

「若い人はITスキルが高い」「年配の人は新しいことを覚えるのが苦手」など、年齢だけで能力や適性を判断してしまうアンコンシャス・バイアスです。

これは、個人の実際のスキルや経験を見落とす原因となります。

学歴による先入観

有名大学出身者を優秀だと思い込んだり、逆に学歴が低い人の能力を過小評価したりするアンコンシャス・バイアスです。

学歴と実際の業務能力は必ずしも比例しないにも関わらず、判断材料として過度に重視してしまいます。

出身地による性格の推測

「関西出身の人は明るい」「東北出身の人は真面目」など、出身地によってその人の性格や特性を決めつけてしまうケースです。

地域のイメージが個人の評価に影響を与えてしまいます。

方言による知性の判断

方言で話す人を「教養がない」と判断したり、逆に標準語で話す人を「知的」と評価したりするバイアスです。

コミュニケーション能力と方言の有無は関係がないにも関わらず、偏見を持ってしまいます。

残業時間による評価

長時間残業している人を「頑張っている」「仕事に熱心」と評価し、定時で帰る人を「やる気がない」と判断してしまうアンコンシャス・バイアスです。

業務効率化を工夫して短時間で成果を挙げている人もおり、労働時間の長さと成果や貢献度は必ずしも比例しません。

発言回数による能力判断

会議でよく発言する人を「リーダーシップがある」「積極的」と評価し、発言が少ない人を「消極的」「能力が低い」と判断してしまうケース。

発言スタイルは個人の特性であり、能力とはまた別の問題です。

子育て中の女性に対する偏見

「子育て中の女性は忙しいから重要な仕事は任せられない」「急な残業は頼めない」など、本人の意向を確認せずに決めつけてしまうアンコンシャス・バイアスです。

配慮のつもりが、かえって機会を奪うことにつながり、マミートラックを生む温床ともなり得ます。

転職回数による人物評価

転職回数が多い人を「根気がない人」「すぐに辞めるだろう」と判断してしまうケースです。

理由や背景を聞かずに、転職の回数だけで判断してしまうのは、偏見です。

日常生活におけるアンコンシャス・バイアス

職場だけではなく、日常生活においてもアンコンシャス・バイアスは発生します。

見た目による職業の推測

スーツを着ている人を「会社員」、作業着を着ている人を「現場作業者」と決めつけてしまうケースです。服装だけでその人の職業や社会的地位を判断してしまうという偏見です。

年齢による技術力の思い込み

高齢者は「スマートフォンが使えない」「インターネットに疎い」と決めつけたり、若者は「デジタル関係が得意」と期待しすぎたりするアンコンシャス・バイアスです。

個人差を無視している点が偏見となっていまです。

性別による趣味の決めつけ

「男性はスポーツが好き」「女性はファッションに興味がある」など、性別によって興味関心を決めつけてしまうケースです。

これは、個人の多様性を見落とす原因となります。

外国人への言語能力の先入観

外見が外国人に見える人に対して、日本語が話せないと思い込んだり、逆に日本人に見える人が外国語を話すと驚いたりするアンコンシャス・バイアスです。

実際の言語能力とは、必ずしも一致しません。

家族構成による生活スタイルの推測

「独身の人は自由」「既婚者は安定志向」「子どもがいる人は家庭優先」など、家族構成によってその人の価値観や生活スタイルを決めつけてしまうケースです。

家族構成と生活スタイルは、必ずしもイメージ通りではありません。

体型による性格の判断

「太っている人はのんびりしている」「痩せている人は神経質」など、体型によって性格を決めつけてしまうアンコンシャス・バイアスです。

外見と内面の性格には、関連はありません。

車による経済力の推測

高級車に乗っている人を「お金持ち」、軽自動車に乗っている人を「経済的に厳しい」と判断してしまうケースです。

車の選択理由には、経済力以外にも多様な要因があります。

住んでいる地域による生活レベルの判断

高級住宅街に住んでいる人を「裕福」、古い住宅地に住んでいる人を「一般的」と決めつけてしまうアンコンシャス・バイアスです。

住居選択の理由は、必ずしも経済力だけではありません。

趣味による人物像の決めつけ

「読書好きは内向的」「アウトドア好きは外向的」など、趣味によってその人の性格や人物像を決めつけてしまうケースです。

趣味と性格は、必ずしも一致しません。

SNSの使用状況による世代判断

SNSを頻繁に使う人を「若い世代」、使わない人を「高齢者」と決めつけてしまうアンコンシャス・バイアスです。

SNSの利用状況は、実際には年齢以外の要因にも左右されます。

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アンコンシャス・バイアスが注目される理由は?

近年、アンコンシャス・バイアスが企業や社会で注目を集めている背景には、以下の3つの重要な理由があります。

多様性の尊重

現代のグローバル化した社会では、性別、年齢、国籍、宗教、性的指向など、多様な背景を持つ人々がともに働き、生活する機会が増えています。多様性(ダイバーシティ)を尊重し、包括的(インクルーシブ)な環境を作ることは、現代組織の重要な課題となっています。

しかし、アンコンシャス・バイアスは多様性の実現を阻害する大きな要因となります。無意識の偏見により、特定の属性を持つ人々が不当に評価されたり、機会から排除されたりする恐れがあるからです。

企業が真の多様性を実現するためには、まずアンコンシャス・バイアスの存在を認識し、それを軽減する取り組みが不可欠です。

すべての人が生きやすい環境づくり

アンコンシャス・バイアスは、偏見を受ける側の人々に深刻な心理的影響を与えます。不当な評価や扱いを受けることで、自信を失ったり、能力を十分に発揮できなくなったりする恐れがあるためです。

また、バイアスを持つ側の人々にとっても、多様な人材の能力や価値を見落とすことで、学習や成長の機会を失うリスクがあります。

すべての人が自分らしく生き、能力を最大限に発揮できる社会を作るためには、アンコンシャス・バイアスへの理解と対策が重要です。

企業における生産性向上

さまざま研究により、多様性の高い組織は創造性、イノベーション、問題解決能力において優れた成果を上げることが明らかになっています。

逆に、アンコンシャス・バイアスが存在する組織では、

  • 優秀な人材を見逃したり、適切でない人材を採用したりするリスクが高まる
  • 多様な視点やアイデアが活用されない
  • 従業員のモチベーションや帰属意識が低下する
  • チーム内のコミュニケーションが阻害される

といった課題が生じます。

これらの問題を解決し、組織の生産性を向上させるためにも、アンコンシャス・バイアスへの対策が重要視されているのです。

アンコンシャス・バイアスが企業に与える影響

アンコンシャス・バイアスは、企業活動のあらゆる場面で深刻な影響を与えます。

具体的にどのような問題を引き起こすのか、詳しく見ていきましょう。

採用・評価における不公平

採用プロセスにおいて、アンコンシャス・バイアスは以下のような問題を引き起こす恐れがあります。

書類選考段階での偏見

履歴書の名前、性別、年齢、学歴、写真などの情報により、無意識のうちに候補者をふるい分けてしまう可能性があります。実際の能力や適性を評価する前に、表面的な情報だけで判断してしまうのです。

面接での主観的評価

面接官の過去の経験や価値観に基づいて、候補者の回答や態度を偏って解釈してしまう恐れがあります。

その結果、「自分と似た価値観の人を好む」「特定の属性の人に対して厳しい質問をする」などの偏見が生じます。

人事評価の不平等

定期的な人事評価においても、アンコンシャス・バイアスは、次のような深刻な悪影響を与える恐れがあります。

  • 同じ成果を上げても、性別や年齢によって評価が変わる
  • 評価者の主観的な印象が客観的な成果を上回る
  • 昇進や昇格の機会に不平等が生じる

チーム内のコミュニケーション阻害

アンコンシャス・バイアスは、チーム内の人間関係やコミュニケーションにも悪影響を与えてしまいます。

意見の聞き方の偏り

会議や議論の場において、特定の属性を持つメンバーの意見を軽視したり、逆に過度に重視したりするケースが発生します。

これにより、多様な視点が活用されず、チーム全体の創造性が損なわれてしまいます。

役割分担の固定化

性別や年齢、経験年数などに基づいて、メンバーの役割を固定化してしまう傾向があります。個人の能力や希望よりも、属性による思い込みが優先されてしまうのです。

心理的安全性の低下

アンコンシャス・バイアスによる不公平な扱いを受けたメンバーは、心理的安全性の低下により、自分の意見を表明することを躊躇したり、チームへの帰属意識を失ったりする恐れがあります。

【関連記事】
心理的安全性を高める研修とは?目的、研修の作り方などを解説

生産性の低下

これらの問題が積み重なることで、企業全体の生産性に深刻な影響を与えます。

人材の流出

不公平な評価や扱いを受けた優秀な人材が他社に転職してしまうリスクが高まります。特に、多様性を重視する価値観を持つ若い世代の人材にとって、バイアスのある職場は避けられるでしょう。

イノベーションの阻害

同質的な人材や視点に偏った組織では、新しいアイデアや革新的な解決策が生まれにくくなります。変化の激しい現代ビジネス環境において、これでは競争力が大幅に低下してしまうでしょう。

企業ブランドへの悪影響

アンコンシャス・バイアスによる問題が表面化した場合、企業の社会的評価や信頼性が大きく損なわれる恐れがあります。

特に、ESG(環境・社会・ガバナンス)を重視する投資家や顧客からの支持を失うリスクがあります。

アンコンシャス・バイアスを減らすには?

アンコンシャス・バイアスは完全になくすことは困難ですが、意識的な取り組みによって大幅に軽減することは可能です。

ここでは、個人レベルと組織レベルでの対策をご紹介します。

一人ひとりが自身のバイアスに気づく

まず重要なのは、自分自身がどのようなバイアスを持っているかを認識することです。たとえば、以下のような点を定期的にチェックしてみましょう。

  • 初対面の人に対して、外見や属性から何を想像しているか
  • 会議で誰の意見により耳を傾けているか
  • 評価をする際に、どのような基準を重視しているか
  • 採用面接で、候補者のどの部分に注目しているか

また、自分とは異なる背景や価値観を持つ人々の意見や経験に触れることで、視野を広げ、バイアスを軽減できます。具体的には、書籍、記事、動画、セミナーなど、多様な媒体から学習することをおすすめします。

組織としてアンコンシャス・バイアス研修を行う

個人の努力だけでなく、組織全体での取り組みが重要です。具体的には、体系的な研修プログラムの実施が効果的です。

特に管理職や人事担当者向けの研修は重要です。彼らの判断が多くの従業員のキャリアに影響を与えるからです。ただし、管理職だけでなく、全ての従業員がアンコンシャス・バイアスについて理解することが重要です。

定期的なワークショップや勉強会、社内報での情報発信などを通じて、組織全体の意識向上を図りましょう。

【関連記事】
アンコンシャス・バイアス研修とは?職場での事例や目的などを解説

アンコンシャス・バイアスを学ぶならドラスタ

アンコンシャス・バイアスへの理解と対策は、一朝一夕に身につくものではありません。体系的で実践的な学習プログラムが必要です。

ドラスタは、企業の人材育成を支援するeラーニングプラットフォームとして、アンコンシャス・バイアスに関する充実したコンテンツを提供しています。映画会社としてのノウハウを生かした、質の高い研修用映像が特長です。

納品形式は、DVD、またはデータ納品に対応しております。

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https://dramatic-study.toei.co.jp/

まとめ

アンコンシャス・バイアスは、決して特別な人だけが持つものではありません。誰もが持っている人間の自然な認知機能の一部です。

重要なのは、その存在を認識し、意識的に軽減する努力を続けることです。

変化の激しい現代ビジネス環境において、多様性を活かした組織運営は競争優位の源泉となります。アンコンシャス・バイアスの理解と対策は、その第一歩として非常に重要です。

まずは組織の現状を把握し、管理職や人事担当者への研修から始めてみることをお勧めします。そして、継続的な学習と改善を通じて、すべての従業員が能力を最大限に発揮できる職場環境を作り上げていきましょう。

一人ひとりの小さな意識変革が、やがて組織全体の大きな変化につながります。多様性を尊重し、包括的な組織文化を築くために、今日から行動を始めてみませんか。

東映では、「アンコンシャス・バイアス」をテーマとした研修用映像作品を、複数ご用意しております。ぜひご利用ください。

ハラスメントの裏に潜む 無意識の偏見(アンコンシャス・バイアス) ~職場のコミュニケーション向上のヒント~

人権のすすめ II

職場の力を育む人権シリーズ 聴く力 ~相手を想う 傾聴コミュニケーション~

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