人権を守るために取り組むべきこととは?人権研修の主な内容や進め方について解説
「人権研修で取り上げるべき内容は?」
「人権研修の正しい進め方が分からない」
などと悩んでいる人は多いでしょう。
この記事では、企業が人権を守るために取り組むべきことや、人権研修でどのようなテーマを扱えば良いのかを徹底解説。効果的な人権研修とするためのコツも紹介します。効果的な人権研修を行うためには、東映が提供するドラスタがおすすめです。
企業の人権研修に関わっている人は、ぜひ最後までご覧ください。
企業が人権を守るために取り組むべきこと
企業が人権を守るために取り組むべきこととして、以下の3点が挙げられます。
- 人権問題が企業に与えるリスクを考える
- 企業としての人権宣言を制定する
- 人権研修をおこない人権意識を高める
それぞれについて詳しく解説します。
人権問題が企業に与えるリスクを考える
社員が人権問題を起こしたときに、どのようなリスクがあるかを考えてみましょう。人権を守るためには、まず企業としてなぜ人権を守る必要があるのかを腹落ちさせる必要があります。「モラルに反するから」など一般的で抽象的な考えでは不十分です。
人権問題が発生したときのリスクを、より具体的に考えましょう。
例えば企業イメージや売り上げの低下、さらには法的制裁を受ける可能性もあるかもしれません。離職率の増加や、求人応募数の低下も考えられます。昨今はSNSの発達により情報が瞬時に拡散します。自分が予想もしていなかった影響を被る可能性もあるので、考えうる最悪の事態を想定しておかなければなりません。
企業としての人権宣言を制定する
人権を守る姿勢を社内外にアピールするためには、企業としての人権宣言の制定が効果的です。何かを達成するために、周囲に宣言をするのは効果的です。宣言をした以上は言葉を守る義務が発生するため、社員も自ずと宣言を守ろうという意識が芽生えるでしょう。
一方で、宣言をしたにもかかわらず、人権問題を発生させれば強い批判を浴びることになります。人権宣言の制定は、企業の覚悟を表すことでもあるのです。
人権研修をおこない人権意識を高める
人権意識を高めるためには、人権研修の実施が欠かせません。「人権を尊重する」とは誰もが当たり前に持っている考えです。
しかし、どのような言動が人権侵害に当たるのか、日々の行動にどのように落とし込めばよいかまで理解している社員は多くないでしょう。
実際、長時間労働による過労死や各種ハラスメント、不当な差別などの人権問題は、定期的にメディアで大きく取り上げられています。人権が大切だと頭では分かっていても、現場では行動が伴わないケースは多いのです。自社が当事者にならないためには、社員に人権研修を行い、問題を未然に防ぐ姿勢が重要です。
人権研修の主な内容
人権研修で取り扱うべき主な内容として、以下の7つが挙げられます。
- パワーハラスメント
- セクシュアルハラスメント
- モラルハラスメント
- LGBTQ+に対する差別と偏見
- 障害のある人に対する差別と偏見
- 部落差別
- 外国人労働者の権利侵害
それぞれ詳しく解説します。
パワーハラスメント
パワーハラスメントとは、職場での上下関係を利用した嫌がらせ行為です。
具体的には、明らかに過度な仕事量の押し付けや、能力・人格を否定する発言などが挙げられます。パワーハラスメントは、被害者の健康を身体的・精神的に壊し、職場環境を悪化させます。研修では、どのような行為がパワーハラスメントに該当するのかを、実際の例を交えながら解説するのが良いでしょう
セクシュアルハラスメント
セクシュアルハラスメントとは、性的な言動による嫌がらせ行為です。具体的には、身体への不必要な接触や性的発言、性的関係の強要などが挙げられます。男性から女性に対するものに限らず、女性から男性・女性から女性・男性から男性(同性同士)・LGBTQ+に対するそうした言動もセクハラに当たります。
どのような行為がセクシュアルハラスメントにあたるのかを、人権研修を通して理解してもらいましょう。
モラルハラスメント
モラルハラスメントとは、言葉や態度による精神的な嫌がらせ行為です。具体的には、過剰な批判や侮辱行為、意図的な無視などが挙げられます。肉体的な暴力を伴わない点です。
モラルハラスメントは目に見えにくいので、周囲が気づきにくいこともあります。だからこそ、何がモラルハラスメントに該当するかをはっきりと伝え、自覚を持たせる必要があります。
LGBTQ+に対する差別と偏見
LGBTQ+とは、性的マイノリティです。日本ではLGBTQ+に対する理解が十分ではないと言われています。
それゆえカミングアウトをためらったり、偏見に悩まされたりする人が多くいます。
2023年にはLGBT理解増進法が施行されました。日本でも本格的に性的マイノリティへの理解を進める方向に動き出しています。[注1]
特に、職場での差別や待遇面における不当な扱いは許されるものではありません。企業は性的マイノリティの人へも平等に接するために、社員へ理解を促す必要があります。多様性が声高に叫ばれる現代において、LGBTQ+に関する人権研修は必須と言えるでしょう。
[注1]内閣府「性的指向・ジェンダーアイデンティティ理解増進」
障害のある人に対する差別と偏見
2024年4月より、障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律に基づき、企業側に以下の対応の必要性が明文化されました。
- 不当な差別的取扱いの禁止
- 障害者の求めに応じ、過度な負担がない範囲での合理的配慮の提供
特に精神障害や発達障害は目に見えづらく、自分も周囲も気付かないばかりに辛い思いをしている人は多くいます。昨今では、特定の分野で大きな能力を発揮する障害があることも分かっています。個人の能力を発揮できる人材配置や接し方を学ぶことで、企業としてより強固な地盤を作れるでしょう。
部落差別
部落差別とは、特定の地域に住んでいる人への差別を指す言葉です。長い間差別され続けている地域が多く、現代においても就職などで不利な扱いを受ける場合があります。
2016年より部落差別の解消に推進に関する法律が施行され、国としても差別解消に動き出しています。企業としても差別のない職場環境を作るため、部落差別がいかに非合理的で非人道的であるかを啓発する必要があるでしょう。
外国人労働者の権利侵害
外国人労働者は言語や文化面での違いから差別を受けるケースがあります。具体的には、不当に安い賃金や長時間労働、同僚からの差別などが挙げられます。
上記に加え、マイクロアグレッションの啓発も必要です。マイクロアグレッションとは「小さな攻撃」と直訳され、無意識の偏見や差別を意味します。外国人労働者の数はますます増えており、少子高齢化の一途を辿る日本では彼らの力が不可欠です。
人権研修を通じて、ともに会社を発展させている仲間として外国人労働者が働きやすい環境を作りましょう。
人権デューデリジェンス
企業が事業活動やサプライチェーンにおける人権侵害を防ぎ、発見し、対応するための継続的なプロセスを人権デューデリジェンスと呼びます。
人権デューデリジェンスとは、企業活動が人権に与える影響を特定・予防・追跡し、情報発信するサイクルを意味します。企業には、人権侵害が確認された場合に被害者が救済を受けられるような仕組みを、運用レベルで構築する責任があります。
人権デューデリジェンスという概念は近年注目を集めており、企業の人権研修でも重要なテーマです。研修では、その重要性とプロセス、具体的な実践方針を説明しましょう。
人権研修の進め方と効果を高めるコツ
人権研修の進め方と効果を高めるコツは次の3つです
- 目的を明確にする
- 研修を行い、当事者意識をもたせる
- 定期的に繰り返し実施する
それぞれについて詳しく解説します。
目的を明確にする
人権研修の目的を明確にすれば、参加者の理解と意識を高められるでしょう。
一方で、目的が曖昧であれば研修で何を伝えたいのかがはっきりせず、形だけの研修に終わる可能性があります。
目的の明確化には、研修の成果を測りやすくする効果もあります。研修後に当初の目的が果たされていなかったら次回の内容を考え直すなど、アクション改善に役立つでしょう。
研修を行い、当事者意識をもたせる
人権研修を行う際に重要なことは、参加者に当事者意識をもたせることです。例えば、自社で実際にあった事例を取り上げれば、より自分事として考えてもらいやすくなります。参加者同士でのディスカッションの時間を設ければ、より能動的な参加を促せます。社員が研修内容を日々の行動に反映させて初めて、研修が成功したと言えるでしょう。そのためには研修の内容を入念に練り込む必要があります
定期的に繰り返し実施する
内容を定着させるためには、定期的に研修を繰り返すことが欠かせません。研修内容を定着させるには、反復が重要です。一度だけでは把握できなかった知識や意識も、何度も行えば次第に身についていきます。定期化すれば、最新の情報や法改正をカバーできるのもメリットです。
研修を定期的に行う場合は、内容の改善や、研修が終わった後に受講者からの感想をもらうことを欠かさず行いましょう。ブラシュアップを続ければ、社員も毎回新しい気づきを得られます。
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