LGBTQ+研修とは?研修内容や目的などを解説

近年、企業においてLGBTQ+の理解促進と職場環境の改善が重要な課題となっています。
多様性の尊重や働きやすい職場づくりが求められる中、LGBTQ+研修の導入を検討する企業が増加しています。
しかし、「どのような内容で研修を実施すればよいのか」「どのような効果が期待できるのか」など、人事担当者の皆様には様々な疑問があるでしょう。
本記事では、LGBTQ+研修の基礎知識から具体的な実施方法まで、わかりやすく解説します。
LGBTQ+研修とは?
LGBTQ+研修とは、性的マイノリティに関する正しい知識を学び、多様な性自認や性的指向を持つ人々への理解と尊重を深めることを目的とした研修です。
具体的には、LGBTQ+という言葉の意味や、性的マイノリティの方が職場で直面する可能性のある課題、差別やハラスメントの防止策、そして誰もが働きやすい職場環境を構築するための具体的な行動について学びます。
なお、「LGBTQ+」は以下の頭文字を取った言葉です。
- Lesbian(レズビアン):女性の同性愛者
- Gay(ゲイ):男性の同性愛者
- Bisexual(バイセクシュアル):両性愛者
- Transgender(トランスジェンダー):身体の性と心の性が一致しない人
- Questioning/Queer(クエスチョニング/クィア):自身の性自認や性的指向が定まっていない、またはあえて定義しない人
「+」は、上記以外の多様な性のあり方(アセクシュアル、パンセクシュアルなど)を包括する意味合いで使われます。
Drama-style video training東映の研修動画『ドラスタ』とは?
LGBTQ+研修の目的
LGBTQ+研修を導入する目的は多岐にわたりますが、主に以下の3点が挙げられます。
当事者への理解と尊重の促進
LGBTQ+研修の最も基本的な目的は、性的マイノリティに対する正しい知識を習得し、アンコンシャスバイアスをなくすことです。
多様な性自認や性的指向を持つ人々が、職場で安心して自分らしく働けるよう、それぞれの個性を理解し、尊重する姿勢を育みます。
これにより、当事者が抱える孤立感や不安を軽減し、心理的安全性の高い職場環境の基盤を築きます。
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差別やハラスメントの防止
性的指向や性自認に関する差別やハラスメント(SOGIハラ)は、個人の尊厳を深く傷つけるだけでなく、企業の生産性低下や評判失墜にもつながります。
研修を通じて、SOGIハラの具体的な事例や、それが引き起こす問題、そして適切な対応方法を学ぶことで、職場における差別やハラスメントの発生を未然に防ぎます。また、万が一発生した場合でも、適切な対処ができる体制を整えることを目指します。
誰もが働きやすい環境づくり
LGBTQ+の従業員が安心して働ける環境は、結果としてすべての従業員にとって働きやすい環境へとつながります。
多様な視点や価値観が尊重される職場では、従業員のエンゲージメントやモチベーションが向上し、創造性や生産性の向上にも貢献します。
研修を通じて、インクルーシブな文化を醸成し、従業員一人ひとりが最大限のパフォーマンスを発揮できるような職場環境の実現を目指しましょう。
なぜLGBTQ+研修が必要とされるのか
近年、LGBTQ+研修の必要性が高まっている背景には、企業の社会的責任と社内のバイアス払拭という2つの大きな理由があります。
企業の社会的責任を果たすため
現代の企業には、利益追求だけでなく、社会の一員としての責任を果たすことが強く求められています。
SDGs(持続可能な開発目標)においても、目標5「ジェンダー平等を実現しよう」や目標10「人や国の不平等をなくそう」において、多様性の尊重と不平等の是正が掲げられています。
LGBTQ+研修は、これらの目標達成に貢献し、企業のESG(環境・社会・ガバナンス)評価を高める上でも重要です。
多様な人材を受け入れ、活躍を支援することは、企業のブランドイメージ向上や優秀な人材確保にも繋がります。
社内のバイアスを払拭するため
人は誰しも、育った環境や経験から無意識のうちに特定の偏見や思い込み(アンコンシャスバイアス)を抱いていることがあります。性的マイノリティに対するバイアスもその一つであり、知らず知らずのうちに当事者を傷つけたり、不当な評価をしてしまったりする恐れがあります。
LGBTQ+研修は、こうした無意識のバイアスに気づき、それを是正する機会となります。バイアスを払拭することで、公平な評価やコミュニケーションが可能になり、すべての従業員が公平に扱われる職場環境が実現します。
LGBTQ+研修の内容
LGBTQ+研修は、座学だけでなく、参加型のコンテンツを取り入れることで、より深い理解と行動変容を促すことができます。
研修内容は、以下の通りです。
LGBTQ+や性的マイノリティに関する知識を学ぶ
まずは、LGBTQ+の基本的な用語や概念、多様な性のあり方について、正確な知識を学びます。
性自認と性的指向の違い、カミングアウトやアウティングの問題、当事者が日常生活や職場で直面する困難など、基礎的な情報を共有します。
これにより、参加者全員が共通の認識を持つことができます。
講演会・動画・ワークショップなどで具体的に学ぶ
座学だけでなく、具体的な事例や体験談を通じて学ぶことは、参加者の共感を呼び、理解を深める上で非常に有効です。
講演会
専門家や当事者を招き、自身の経験や専門知識を語ってもらうことで、リアルな声に触れる機会を設けましょう。
動画視聴
ドキュメンタリーや啓発動画を視聴することで、視覚的に情報を得て、多様な生き方や課題を多角的に理解します。
たとえば、東映が提供する研修サービス「ドラスタ」のように、映像コンテンツを活用した実践的な研修も有効です。
ワークショップ
グループディスカッションやケーススタディを通じて、具体的な状況での対応方法を考えたり、参加者同士で意見交換を行ったりすることで、主体的な学びを促します。
社内でディスカッションを行う
研修で得た知識や気づきを、参加者間で共有し、ディスカッションを行うことは非常に重要です。疑問点の解消だけでなく、「自分の部署では何ができるか」「どのような配慮が必要か」といった具体的な行動について議論することで、研修内容を自分事として捉え、職場での実践へと繋げることができます。
これにより、研修が単なる知識習得で終わらず、具体的な行動変容を促すきっかけとなります。
LGBTQ+研修を行う際のポイント
LGBTQ+研修を成功させるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
専門家による講演や当事者の声を取り入れる
LGBTQ+に関する知識は専門性が高く、誤解や偏見を生みやすい側面もあります。そのため、研修講師はLGBTQ+に関する専門知識を持つプロフェッショナルや、実際に当事者としての経験を持つ方を招くことが望ましいです。また、当事者のリアルな声は、参加者の共感を呼び、より深い理解と意識変革を促します。
特に、外部の専門家を招くことで、社内では話しにくいデリケートな話題についても、安心して質問できる環境が生まれます。
研修後のフォローアップを行う
研修は一度行ったら終わりではありません。研修で得た知識や意識を定着させ、実際の行動へと繋げるためには、継続的なフォローアップが不可欠です。
具体的には、以下のような取り組みが考えられます。
- Q&Aセッションや相談窓口の設置…研修後に生じた疑問や不安を解消できる場を設ける。
- 情報提供の継続…LGBTQ+に関する最新情報や関連ニュースを社内報や社内ポータルで共有する。
- 就業規則や社内制度の見直し…研修で得た知見を活かし、就業規則や福利厚生制度がLGBTQ+フレンドリーであるかを確認し、必要に応じて改訂する。
- アライ(Ally/支援者)の育成…LGBTQ+を積極的に支援するアライを増やし、社内でのネットワークを構築する。
こうした継続的な取り組みを通じて、企業全体で多様性を尊重する文化を根付かせることが重要です。
まとめ
LGBTQ+研修は、単なる知識の習得に留まらず、従業員一人ひとりの意識を変え、誰もが働きやすいインクルーシブな職場環境を築くための重要なステップとなります。
当事者への理解を深め、差別やハラスメントを防止し、心理的安全性の高い職場を実現することは、企業の社会的責任を果たすだけでなく、従業員のエンゲージメント向上や優秀な人材の確保、ひいては企業価値の向上にもつながります。
本記事でご紹介した研修内容やポイントを参考に、貴社に最適なLGBTQ+研修の導入をご検討ください。多様性を力に変え、持続的に成長できる企業を目指しましょう。たとえば、東映が提供する「ドラスタ」のような映像コンテンツも、研修の一助となるでしょう。