ダイバーシティ研修とは?内容や目的、必要性などを解説

近年、多くの企業で注目を集めているダイバーシティ研修。
しかし、「具体的にどのような内容なのか」「なぜ必要なのか」といった疑問をお持ちの人事担当者様も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、ダイバーシティ研修の基本的な概念から具体的な実施内容、導入の効果まで、人事部門の方が知っておくべきポイントをわかりやすく解説します。多様な人材が活躍できる組織づくりを目指すための第一歩として、ぜひお役立てください。
ダイバーシティ研修とは?
ダイバーシティ研修とは、企業や組織において、性別や年齢、国籍、障がい、性的指向、価値観、経験など、多様な属性を持つ人々が互いを尊重し、それぞれの違いを強みとして活かしながら、最大限のパフォーマンスを発揮できる組織を目指すための教育のことです。
単に多様な人材を受け入れるだけでなく、「インクルージョン(包摂)」の概念も重要視されます。なお、インクルージョンとは、多様な人々が組織の一員として認められ、安心して意見を表明し、能力を最大限に発揮できる状態を指します。
ダイバーシティ研修は、このダイバーシティ&インクルージョン(D&I)を実現するための重要な手段となります。
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ダイバーシティ研修の目的
ダイバーシティ研修の導入は、企業が持続的に成長していく上で不可欠な要素となりつつあります。
主な目的は以下の通りです。
多様な人材の確保と受容の促進
少子高齢化による労働力人口の減少が進む日本では、採用競争が激化しています。多様なバックグラウンドを持つ人材を積極的に受け入れ、彼らが働きやすい環境を整備することで、優秀な人材の確保につながります。
また、従業員一人ひとりが「自分らしくいられる」と感じることで、エンゲージメントや定着率の向上にも寄与します。
公平な評価と機会提供の実現
アンコンシャスバイアス(無意識の偏見)は、採用、配置、評価、昇進など、人事のあらゆる場面で公平性を損なう可能性があります。ダイバーシティ研修を通じて、こうしたバイアスに気づき、客観的かつ公平な評価基準を確立することで、全ての従業員に平等な成長機会を提供できるようになります。
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ハラスメントの防止と快適な職場環境の実現
多様な価値観が混在する職場では、コミュニケーション不足や相互理解の欠如から、ハラスメントや軋轢が生じる恐れがあります。
ダイバーシティ研修によって多様性への理解を深め、適切なコミュニケーション方法を学ぶことで、ハラスメントの発生を未然に防げます。これにより、従業員が安心して働ける心理的安全性の高い職場環境を構築することを目指します。
ダイバーシティ研修が注目される背景
ダイバーシティ研修が近年、多くの企業で注目を集める背景には、以下のような社会・経済情勢の変化があります。
労働力人口の減少と多様な人材の確保
少子高齢化により、国内の労働力人口は減少の一途をたどっています。企業が持続的に成長するためには、性別、年齢、国籍、障がいの有無に関わらず、多様な人材を積極的に活用していくことが不可欠です。
グローバル化の進展
経済活動のグローバル化に伴い、海外事業展開や外国人材の活用が増加しています。異文化理解や多様な価値観を受け入れる力が、国際競争力を高める上で重要になっています。
消費者ニーズの多様化
顧客の価値観やライフスタイルが多様化する中で、企業は多様な視点を取り入れた商品・サービス開発が求められています。多様な従業員がいることで、顧客ニーズへの対応力も向上することが期待できます。
企業価値向上とブランドイメージの向上が求められている
SDGs(持続可能な開発目標)への意識の高まりや、ESG投資(環境・社会・ガバナンスを考慮した投資)の拡大により、ダイバーシティ推進は企業の社会的責任(CSR)の一環としても認識されています。
多様性を尊重する企業は、社会からの評価やブランドイメージ向上につながり、優秀な人材を引きつける力も高まります。
イノベーションの創出が求められている
多様なバックグラウンドを持つ人々が集まることで、異なる視点やアイデアがぶつかり合い、新たな発想やイノベーションが生まれやすくなります。
ダイバーシティ研修の内容
ダイバーシティ研修には、特定の属性に焦点を当てたものから、普遍的なスキル向上を目指すものまで、さまざまな種類と内容があります。自社の課題や目的に合わせて適切な研修を選ぶことが重要です。
ダイバーシティ研修の種類
ダイバーシティ研修の主な種類として、次の5つが挙げられます。
女性活躍推進研修
女性活躍推進研修は、女性がキャリアを継続し、管理職として活躍するための意識改革やスキル向上を目的とした研修です。女性リーダーの育成やワークライフバランスへの理解を深める内容も含まれます。
外国人活躍推進研修
異文化理解、多文化共生、外国人材との効果的なコミュニケーション方法などを学ぶものです。外国人社員向けには、日本のビジネス文化や習慣への適応支援も行います。
シニア活躍推進研修
定年延長や再雇用制度の導入が進む中で、シニア層が長く活躍できるためのキャリアプランニングや、若手社員との世代間コミュニケーションの円滑化を目的とした研修です。
障がい者活躍推進研修
障がいへの正しい理解を深め、合理的配慮の提供方法、コミュニケーションの工夫、障がい者が働きやすい職場環境の整備について学ぶものです。
LGBTQ+研修
性的マイノリティ(LGBTQ+)に関する正しい知識を習得し、差別や偏見をなくすための意識改革、アライ(支援者)としての行動を促します。社内制度の整備や相談窓口の設置についても周知します。
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ダイバーシティ研修の内容
ダイバーシティ研修の主な内容として、次の3点が挙げられます。
ダイバーシティに関する基礎知識と概念の理解
ダイバーシティとは何か、なぜ企業にとって重要なのかといった基本的な概念から、ダイバーシティ&インクルージョンの違い、具体的な事例などを通して、多様性を受け入れる土台を築きます。
アンコンシャスバイアスへの気づきと対処法
アンコンシャスバイアスは、誰にでも存在します。研修では、具体的な事例を通じて自身のバイアスに気づき、それが業務や人間関係に与える影響を理解します。その上で、バイアスを認識し、公平な判断を下すための対処法を学びます。
コミュニケーションスキルの向上と多様な意見の尊重
多様な価値観を持つ人々との円滑なコミュニケーションは、ダイバーシティ推進の鍵となります。
傾聴(アクティブリスニング)やアサーティブコミュニケーション(相手を尊重しつつ自分の意見を明確に伝える)など、相互理解を深めるための具体的なスキルを習得します。また、異なる意見を尊重し、建設的な議論を行うためのファシリテーションスキルなども学ぶことがあります。
ダイバーシティ研修を行う際のポイント
ダイバーシティ研修を効果的に実施し、組織に定着させるためには、いくつかの重要なポイントがあります。
全社的に研修を行う
ダイバーシティ推進は、一部の部署や従業員だけでなく、経営層から一般社員まで、組織全体で取り組むべき課題です。
特に経営層が率先してダイバーシティの重要性を認識し、コミットメントを示すことが、従業員の意識改革を促す上で不可欠です。
全社的な意識統一を図ることで、研修効果が最大化されます。
自社に適した研修を選ぶ
企業の業種、規模、抱える課題、従業員の属性は様々です。集合研修、オンライン研修、eラーニング、さらに、これらを組み合わせたハイブリッド研修などの中から、最適な研修方法を選定することが重要です。
効果的なプログラムを設計する
一方的な座学だけでなく、グループディスカッション、ワークショップ、ケーススタディ、ロールプレイングなど、参加型で実践的な内容を取り入れることで、従業員の理解度と定着度が高まります。
また、一度の研修で全てを解決しようとせず、継続的な学習機会を提供することも大切です。外部の専門家や研修会社の知見を活用するのも良いでしょう。
研修後のフォローアップを行う
研修はあくまでスタート地点です。研修で学んだ知識やスキルを、実際の業務や人間関係に活かすためのフォローアップが不可欠です。
定期的なアンケート調査や面談を通じて、従業員の意識や行動の変化を把握し、必要に応じて追加の研修や個別サポートを実施しましょう。また、研修内容を社内制度やルールに反映させることで、組織全体の変化を促すことも重要です。
ダイバーシティ研修を行うならドラスタ
多様な人材が活躍できる組織づくりは、企業の持続的成長に不可欠です。しかし、何から始めれば良いかわからない、自社に合った研修が見つからないとお悩みの中小企業の人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが「ドラスタ」の研修映像コンテンツです。「ドラスタ」では、ダイバーシティ研修用の映像コンテンツをご提供しています。映画会社が制作したクオリティの高い映像作品で、わかりやすく、自分ごと化しやすい研修を実施することが可能です。
多様性を力に変え、イノベーションを生み出す組織へと進化するために、ぜひ「ドラスタ」をご利用ください。
まとめ
ダイバーシティ研修は、多様な人材が活躍できる職場環境を整備し、企業の競争力を高める上で極めて重要な取り組みです。性別、年齢、国籍、障がい、性的指向など、様々な違いを理解し、尊重することで、ハラスメントの防止、公平な評価、そしてイノベーションの創出につながります。
ぜひ本記事を参考に、貴社に最適なダイバーシティ研修を検討し、多様な人材が輝く組織づくりを進めていきましょう。